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讃岐うどん談義|おか泉交流録

第1回 蓮生 善隆氏

ありがたいご縁でいただく うどんの話し
総本山善通寺正覚門

蓮生氏「私も讃岐人、三度のご飯よりもうどんが好きですわ。おうどんは、お寺にも縁が深くありがたい食べ物ですな。讃岐で法事に呼ばれますと、まず、御小食(おしょうじき)というて、おうどんが出ます。善通寺でも、たいていお昼のもてなしはおうどんでしたな。

讃岐の人は何でも弘法大師さんに結びつけますが、このおうどんも弘法大師さんが唐から伝えられたと言われています。これは、ただの言い伝えではなく事実だと思いますな。何故かというと、麺は唐の時代に作られ、その頃、遣唐使によって日本に伝わったようですからな。弘法大師さんも、遣唐使として唐に渡りいろいろなものを日本に伝えました。その一つにおうどんがあっても何の不思議もありませんわ。きっと、お大師さんも、おうどんがお好きやったでしょうな。

おか泉さんとのご縁は、日本海に面した蟹で有名な香住に、円山応挙の作品で有名な応挙寺と呼ばれる大乗寺がありましてな。私は、この寺に7歳の時から小僧として行っておりました。なんと、この寺の前に、おか泉のご主人の実家があります。ですから、ご主人とは同じ小学校の卒業生ということになりますな。お話を聞いて、不思議な縁に驚きました。お大師様のお引き合わせかも知れませんな。

十年以上のおつきあいになりますが、心底、おか泉さんのうどんに惚れました。味の良いのはもちろんですが、うどんに気持ちがこもっとる。おか泉さんは、他にも目もくれず、水から塩から徹底的にこだわって、ひたすらうどんに打ち込んでおる。うどんが生き甲斐で、筋金入りの根性で、おいしいうどんを作ることに邁進しておる。おか泉さんのうどんに、その心を感じます。お大師さんにとって、文字というものが道具ではなく心を持った神であったように、おか泉さんにとってうどんは神になっておるんでしょうな。どなたをお接待するのも、どなたにお奨めするのも、おか泉さんのおうどんですわ」。

蓮生 善隆氏のご紹介

大正4年生まれの蓮生氏は、高野山大学と日本大学で学び、高野山金剛三味院住職、別格本山与田寺住職を経て、真言宗善通寺派管長、総本山善通寺法主を務められ、昭和51年京都の東寺で後七日後修法の長者という偉業も成し遂げられた。 現在は、四国八十八カ所奥の院である與田寺で、悠々自適の隠居生活を楽まれた後、平成17年1月に他界されました。合掌。

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